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Attractor Inc
- 2026/01/07 21:48
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新訳アジャイルマニフェスト 2026/1/7 Regional Scrum Gathering Tokyo 2026 株式会社アトラクタ
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株式会社アトラクタについて ✤ 社名:株式会社アトラクタ 英文表記:Attractor Inc. / https://www.attractor.co.jp ✤ 設立:2016年12月 ✤ 所在:東京都港区 ✤ プロダクト開発に関するコンサルティングやトレーニングを提供 ✤ アジャイル開発 / DevOps / チーム育成 / クラウドコンピューティング / ドメインモデリングな どが専門領域 2
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なぜ新訳? ✤ アジャイルマニフェストの現在の日本語版はすばらしい! ✤ でも内容を誤読する人は多い ✤ 翻訳でも表記揺れや意訳が過ぎると思われる箇所が複数ある ✤ アトラクタではいままで20冊近くの本を執筆・翻訳 ✤ そのノウハウを活かして新たに訳し直してみた ✤ 単なる実験であり、それ以上どうしようとは思っていない 5
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まずは主文のタイトル ✤ タイトルから表記が多少揺れている…… ✤ 主文の原文タイトルは「Manifesto for Agile Software Development」 ✤ 12の原則ではタイトルが「Principles behind the Agile Manifesto」 ✤ 両方とも2001年2月にSnowbirdで作られた。 ✤ 12の原則で「the Agile Manifesto」とあるので、これが主文を指すことは明白 ✤ Manifestoはニュアンスとしては「立場の表明」。日本語で「宣言」という訳をつけることもある が、「宣言」という言葉が持つ断定性や厳粛性には違和感がある ✤ 海外では「Agile Manifesto」と呼ばれることが多い(Agile Allianceのサイトなど) ✤ これらを踏まえると主文タイトルを「アジャイルマニフェスト」としたい 6
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第1段落 We are uncovering better ways of developing software by doing it and helping others do it. Through this work we have come to value: ✤ uncover: 覆われていたものを取り除く / 隠れていたものを明らかにする / 見つけ出す ✤ つまり、元から「どこかにあった」ものを表に出すというニュアンス ✤ 発明(invent)でも、定義(de ne)でも、決定(decide)でもない ✤ We uncoveredではなく、We are uncoveringであることの意味は、今も続いていること、途中で あること、これから変わる可能性があることを示唆する ✤ そこにあるものを見つけて名前をつける=見出す(見つけるではない) ✤ Waysなので1つではない。いくつかは見出した fi 7
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第1段落の訳文 私たちは、自らの実践と他者の実践の支援を通じて、ソフトウェア開発のより良いやり方を見出し つつある。 この活動を通じて、私たちは以下の価値観に至った。 8
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第2段落 Individuals and interactions over processes and tools Working software over comprehensive documentation Customer collaboration over contract negotiation Responding to change over following a plan ✤ 訳文の扱いで気にすべきところ ✤ 「interaction」と「working software」 9
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Interactionとは何か? ✤ 現状だとInteractionは「対話」と訳されている ✤ だが、相互作用、やり取り、影響しあう関係性というのが英単語の中核的な意味 ✤ つまり「対話」だけに限らない ✤ 対話、協働、リアルタイムフィードバック、行動を伴う相互作用などを含む ✤ 「individuals and interactions」を「個人と相互作用」にすると主従関係に読めてしまうが、そ れぞれは別のもの 10
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Working softwareとは何か? ✤ 現在は「動くソフトウェア」と訳されている ✤ Workの意味は幅広いが、働く、機能する、動作する、効果を発揮する、作用する、影響を与える などの意味がある ✤ でも、ソフトウェアはただ動くだけでは不十分 ✤ アジャイルマニフェストの17人のスタンスを踏まえると「実際に動作して役に立つ」までを満た さなければいけないと考えるのが妥当 ✤ 「使えるソフトウェア」(「使えねぇ」の逆) 11
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第2段落の訳文 プロセスやツールよりも個人や相互作用に 網羅的なドキュメントよりも使えるソフトウェアに 契約交渉よりも顧客との協働に 計画に従うことよりも変化への対応に 価値を置く。 双方に価値があることを認めるが、私たちは後者により価値を置く。 12
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12の原則 (1) Our highest priority is to satisfy the customer through early and continuous delivery of valuable software. ✤ 現状が「早く継続的」になっているが、「速く」との区別がつきにくい 顧客満足を最優先とし、早期から継続的に価値のあるソフトウェアを届ける。 13
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12の原則 (2) Welcome changing requirements, even late in development. Agile processes harness change for the customer's competitive advantage. ✤ 現状では「顧客」と「お客様」の表記揺れがある ✤ harness: エネルギーを引き出して役立てる、動力化する ✤ ✤ つまり「変化を意図的に活用する」というニュアンスがある(尻馬に乗る感じ) Changeは「変更」ではなく「変化」 開発の後期であっても、要求の変化を歓迎する。アジャイルプロセスは、顧客の競争力向上のた めに変化を味方につける。 14
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12の原則 (3) Deliver working software frequently, from a couple of weeks to a couple of months, with a preference to the shorter timescale. ✤ 「Working software」はすでに説明したとおりで、動くソフトウェアでは弱い ✤ 「with a preference to the shorter timescale.」が訳されていない ✤ preferは選択 使えるソフトウェアを頻繁に届ける。2〜3週間から2〜3か月という単位を想定するが、なるべく 短い期間を選ぶ。 15
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12の原則 (4) Business people and developers must work together daily throughout the project. ✤ 「throughout the project」のニュアンスは「プロジェクトの最初から最後まで」 ビジネス担当者と開発者は、プロジェクトの最初から最後まで毎日一緒に働かなければいけな い。 16
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12の原則 (5) Build projects around motivated individuals. Give them the environment and support they need, and trust them to get the job done. ✤ 現訳で「around」を「集める」という意味で使っているが、人はそこにいる ✤ その周りにプロジェクトを立ち上げる 意欲ある人たちのまわりにプロジェクトを立ち上げる。必要な環境とサポートを提供し、仕事が完 成するまで信頼する。 17
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12の原則 (6) The most e cient and e ective method of conveying information to and within a development team is face-to-face conversation. ✤ 現訳では、「to and within a development team」の訳が漏れている 開発チーム内で情報をやりとりするためのいちばん効果的で効率的な方法は顔を合わせて話 すことである。開発チームへの情報のやりとりの方法も同じである。 ff ffi 18
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12の原則 (7) Working software is the primary measure of progress. ✤ 何度も出てきた「working software」。動くだけでは意味がない 使えるソフトウェアこそが、進捗のいちばんの指標である。 19
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12の原則 (8) Agile processes promote sustainable development. The sponsors, developers, and users should be able to maintain a constant pace inde nitely. ✤ 現訳では「The sponsors, developers, and users」が漏れている アジャイルプロセスは持続可能な開発を推進する。スポンサー、開発者、ユーザーは、一定の ペースをずっと維持できるようにしなければいけない。 fi 20
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12の原則 (9) Continuous attention to technical excellence and good design enhances agility. ✤ 「agility」はアジリティ(機敏さではなく) ✤ 「enhance」は向上する、高まる 技術的卓越と良い設計に絶え間なく注意を払うことでアジリティが高まる。 21
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12の原則 (10) Simplicity--the art of maximizing the amount of work not done--is essential. ✤ 現訳(ムダなく作れる量を最大限にすること)は誤訳気味 ✤ 「the art of」 技芸、プロの技(最大限やらずに済ませるという技) シンプルさ―最大限作らずに済ませる技―は必須である。 22
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12の原則 (11) The best architectures, requirements, and designs emerge from self-organizing teams. ✤ 「emerge」は意図的に生み出すというよりは、出現してくるイメージ(相互作用の結果)で、 create / design / produceとは違う。なので現訳の「生み出されます」は少しニュアンスが違 う 最良のアーキテクチャー、要求、設計は、自己組織化したチームから現れる。 23
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12の原則 (12) At regular intervals, the team re ects on how to become more e ective, then tunes and adjusts its behavior accordingly. ✤ 「tune and adjust」 は少しづつ調整する感じ(何かのルールにあわせてどかんと調整するの ではない) ✤ 一定の間隔ごとにやるので、ずっと続く チームはより効果的に働くために定期的にふりかえり、結果に従ってふるまいを調整し続ける。 ff fl 24
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アジャイルマニフェスト 私たちは、自らの実践と他者の実践の支援を通じて、ソフトウェア開発のより良いやり方を見出し つつある。 この活動を通じて、私たちは以下の価値観に至った。 プロセスやツールよりも個人や相互作用に 網羅的なドキュメントよりも使えるソフトウェアに 契約交渉よりも顧客との協働に 計画に従うことよりも変化への対応に 価値を置く。 双方に価値があることを認めるが、私たちは後者により価値を置く。 25
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アジャイルマニフェストの背後にある12の原則 顧客満足を最優先とし、早期から継続的に価値のあるソフトウェアを届ける。 開発の後期であっても、要求の変化を歓迎する。アジャイルプロセスは、顧客の競争力向上のために変化を味方につける。 使えるソフトウェアを頻繁に届ける。2〜3週間から2〜3か月という単位を想定するが、なるべく短い期間を選ぶ。 ビジネス担当者と開発者は、プロジェクトの最初から最後まで毎日一緒に働かなければいけない。 意欲ある人たちのまわりにプロジェクトを立ち上げる。必要な環境とサポートを提供し、仕事が完成するまで信頼する。 開発チーム内で情報をやりとりするためのいちばん効果的で効率的な方法は顔を合わせて話すことである。開発チームへの情 報のやりとりの方法も同じである。 使えるソフトウェアこそが、進捗のいちばんの指標である。 アジャイルプロセスは持続可能な開発を推進する。スポンサー、開発者、ユーザーは、一定のペースをずっと維持できるようにし なければいけない。 技術的卓越と良い設計に絶え間なく注意を払うことでアジリティが高まる。 シンプルさ―最大限作らずに済ませる技―は必須である。 最良のアーキテクチャー、要求、設計は、自己組織化したチームから現れる。 チームはより効果的に働くために定期的にふりかえり、結果に従ってふるまいを調整し続ける。 26
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